ワルラス的調整過程は消費者も生産者も価格変化に即対応

ワルラス的調整過程は消費者も生産者も価格変化に即対応

価格の変化に市場は敏感です。市場調整のメカニズムとして、3つの説が挙げられています。クモの巣の調整過程とマーシャル的調整過程、今回説明する「ワルラス的調整過程」です。どういった調整のメカニズムなのかをまとめていきましょう。

ワルラス的調整過程は価格変化に消費者も生産者も即対応

ワルラス的調整過程とは、価格の変化に消費者も生産者もすぐに対応して需要量や供給量を調整すると想定された市場調整メカニズムです。価格を軸に調整過程を説明するモデルといってもいいかもしれません。

ワルラス的調整過程の代表として株式市場が挙げられます。株式投資をする人は株の値動きに敏感です(価格シグナルに敏感)。買う人は1円でも安く買いたい・売る人は1円でも高く買いたいと考えているのは株式投資をしない人でもイメージできるでしょう。

ワルラス的調整過程では、売れ残れば価格が下がり品不足では価格が上がる

価格調整が行われると、下のような動きが見られます。

価格調整
→売れ残り(超過供給)→価格下落
→品切れ(超過需要)→価格上昇

価格が調整されて高すぎると売れ残ります。スーパーマーケットを想像すると分かりやすいですが、売れ残っている商品にはシールが貼られて値引きがされているでしょう。経済学的な書き方をすれば、最初は高すぎた価格pが需要と供給のバランスをみて均衡価格p*に近づいたのです。このように均衡価格にどんどん価格が近づく状態を「安定」と表現します。

ワルラス的調整過程での需要曲線と供給曲線の関係

先ほどの価格の変化に加えて、需要曲線と供給曲線の関係についても確認しておきましょう。

価格調整
→売れ残り(超過供給)→価格下落→供給曲線Sが需要曲線Dの右側にある
→品切れ(超過需要)→価格上昇→需要曲線Dが供給曲線Sの右側にある

上に需要曲線と供給曲線の関係を書きましたが、ワルラス的調整過程で市場が動く場合には条件があります。「均衡のワルラス的安全性の条件」と呼ばれたりしますが、「均衡の上方で供給曲線Sが需要曲線Dよりも右側にある」のがワルラス的調整過程で安定する条件です。もしくは「供給曲線Sの傾きが需要曲線Dの傾きより大きい(D>S)」の方がわかりやすいもしれません。

ワルラス的調整過程のグラフ

ワルラス的調整過程

均衡のワルラス的安定性の条件を満たしたグラフを書いてみました。均衡点Eの上側では、供給曲線Sが需要曲線Dよりも右側にきているのが確認できたでしょうか。

またp1では超過供給・p2では超過需要が発生しているのが、グラフからも読み取れます。超過供給・超過需要を解消するために生産者が価格を調整して、均衡点E・均衡価格p*を目指すのです。

【参考書籍】