効用とは消費者の満足度を示す値

効用とは消費者の満足度を示す値

食事が美味しいと感じた経験はあなたにもあるでしょう。またあなたにも好きな食べものと嫌いな食べものがあるのではないでしょうか。このような主観的な評価を「効用」と呼び、財ごとで効用は異なります。そのため効用を分析の材料として利用すれば、消費者の意思決定のメカニズムが分析できたりするのです。効用がどういった値かを確認していきましょう。

効用とは消費者の満足度を示す値

効用とは、消費者の満足度を示す値です。料理の“美味しさ”や衣服の“かっこよさ”などの感覚的な評価を数的に示した値といってもいいでしょう。utilityの訳であり、uやUを用いて表します。

また効用Uは、2つの財の消費量を組み合わせて表現される場合があります。たとえば財が2つあったとしましょう。片方をx1、もう片方をx2とします。冒頭では好きな食べものと嫌いな食べものの話をあげましたが、好きなものを2つ考えてみてください。今回はメロンとマスカットを挙げるとしましょう。するとx1=メロン・x=マスカットとできます。

人によって差がありますが、メロンを1つもらえるのはマスカットを2つもらえるのと同じぐらいうれしい人もいるでしょう。もしくはメロン1つならマスカット5つ分も価値があると思う人もいるかもしれません。このように個人差がある“うれしい”などの主観的な評価を2つの財の数の比較によって数値化するのです。書き方はU=U(x1,x2)と書いたりします。

限界効用は逓減していくのが一般的(ゴッセンの第一法則)

効用の増加量に注目すると、消費者の行動予測が可能です。効用の増加を、「限界効用」と経済学では呼びます。限界効用とは、財1単位の追加に伴って増加する効用の増加分を意味する言葉です。英語のmarginal utilityからとって、MUと書いて示します。

限界効用には、財の消費量が増えれば増えるほど次第に減っていく(逓減する)特徴がみられます。たとえば初めてメロンを食べたときの美味しさと、100個食べたあとにもう一個食べるときの美味しさを比べるとイメージしてみてください。(そもそもメロンを101個も食べられないとの指摘はごもっともですが)最初に食べたときの方が美味しいと感じるのがイメージできるのではないでしょうか。このように財の消費量が増えれば増えた分だけ限界効用は逓減していくのです(ゴッセンの第一法則)

効用

財の数量と総効用の関係を示した上のグラフでも、限界効用であるα・β・γを比較できます。財の数量が多くなるにつれて限界効用が小さくなっているのが分かるでしょうか。α>β>γ>…と限界効用は逓減していくのです。

また財に対する主観的な評価を限界効用によって示すのには問題点が2つあるといわれています。ひとつは効用が測定可能と推定している点(基数的効用)。もうひとつは、代替財や補完財など他の財の数的変化が当該財の限界効用に影響する可能性が無視されている点です。

【参考書籍】