独占と完全競争の市場は、生産者の数と需要曲線の形状が違う

競合他社がいない市場を“ブルーオーシャン”と呼びます。またブルーオーシャンに参入する企業を、リスクをとって最初に海に飛び込むペンギンにちなんで“ファーストペンギン”と呼ぶのもご存知かもしれません。競合他社がいて競争原理がはたらく「完全競争」な状態と、いわゆるブルーオーシャンのように競合がいない「独占」な状態の市場の違いを今回は説明します。
独占と完全競争の市場は、生産者の数が違う
市場には消費者と生産者が存在します。完全競争の場合、消費者も生産者も多く市場の調整原理が働いているでしょう。どこか一社が価格を上げようとしても、消費者の行動を鑑みながらほかの会社が現状維持をすれば市場価格pは変わりません。適切な価格での取引が続きます。
しかし生産者が1社しかいない独占の場合は様子が違ってくるでしょう。生産者が1社しかいなければ、多くいる消費者はその会社からものを買うしかありません。企業からみれば全ての消費者が自分の顧客です。画期的な発明をしたメーカーが、その商品を独占的に販売しているようなケースが独占に該当します。
完全競争企業とは、市場価格一定と想定して生産活動をするプライス・テイカー
完全競争企業とは、市場価格pが一定だと想定して生産活動をしている企業です。「プライス・テイカー」とも呼ばれますが、調整原理がはたらく完全競争な市場でビジネスをしている企業といってもいいでしょう。
多数の企業がいるなかで、1社だけでは市場価格を変える影響力がないと先ほど説明しました。そのため完全競争企業が生産活動をするときに考慮しなければならない市場では、需要曲線Dが傾き0で水平な直線になります。
独占企業とは、市場を独り占めしているプライスメイカー
独占企業とは、市場を独り占めしている企業です。文字どおり、独占状態の市場に参入しているたった1社の企業を指します。ほかに競争他社がおらず調整機能も市場で働きません。その会社が好きなように決めた価格がそのまま市場価格pになります。「プライス・メイカー」と呼ばれるのもそのためです。
また独占企業は生産量Qを決めるときもほかの企業の動向に合わせる必要がありません。需給のバランスをみながらその会社が調整した生産量Qにあわせて市場価格pも変動します。そのため市場全体として考えても、需要曲線Dのスタンダードである右下がりになると考えらえるでしょう。
【参考書籍】
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