生産関数・生産曲線・生産曲面は消費理論と同じ要領で分析

生産関数・生産曲線・生産曲面は消費理論と同じ要領で分析

消費理論では、効用曲面を垂直に切って効用曲線・水平に切って無差別曲線を得て消費者の消費行動を分析します。同じ要領で、生産者の生産行動も三次元の曲面を垂直・水平に切って分析するのです。生産曲面を今回は垂直に切って生産曲線の特徴をみてみましょう。

生産関数とは、投入する財と完成した生産物の関係性を示す式

生産関数とは、生産者が何かを生産するときに投入する財と完成した生産物の関係性を示す式です。投入される財には機械・土地・労働などが挙げられます。その投入される生産要素を「投入物」と呼ぶのも覚えておく良いでしょう。

また生産関数をグラフに書き起こしてできる曲線を「生産曲線」と呼びます。さらに2つの財(生産要素)を組み合わせた平面上の点における高さを生産量として表す三次元の曲面を「生産曲面」と呼ぶのもチェックしておきましょう。生産曲線と生産曲面は、消費の理論で登場した効用曲線・効用曲面と同じような捉え方をします。

生産曲面・生産曲線のグラフ

生産曲面・生産曲線

上左図には、2種類の投入物があると想定して、横軸に投入物x1・縦軸に投入物x2・高さに生産量Qの関係性を示す生産曲面が書かれています。消費理論で登場した効用曲面と似た形で、思い出された人もいるかもしれません。なかでも上左図に青色の面が書かれている面が確認できるでしょうか。この青い面は、x2の量をで固定し、底面に対して垂直になるように生産曲面を切った切り口にあたります。

上右図は、その面を二次元のグラフに書き直したものです。この面に書かれている曲線は、“x1(第1要素)の生産曲線”と呼びます。横軸にあるx1の量に応じた生産量Qの変化が確認できるでしょう。反対にx1の量をで固定して同様の作業から求められる生産曲線は“x2(第2要素)の生産曲線”になります。x1の場合で書いた上右図のようなグラフがx2の場合でも同様に描けるのを確認してみてください。

生産曲線の特徴

生産曲線

上でも書いたとおり、消費理論における効用曲線の要領で、生産曲線の特徴を同じように捉えてみましょう。

まず着目すべきは生産曲線の傾きです。生産曲線の傾きは、上図(既出の”上右図”と同様)でいえば、$\frac{ΔQ}{Δx_{1}}$にあたります。生産曲線の傾きは、生産要素(x1)をひと単位変化させたときの生産量Qの変化の程度「限界生産物(力)」を示しています。限界生産物はMPと略されるのもチェックしておきましょう。

また生産曲線は、$Q=f(x_{1},x_{2})$のような関数で表せます。生産要素として労働力(L)と資本(K)を用いて、$Q=f(K,L)$という式を作り、そこから利潤や雇用量を考えるのに使えます。また総費用TCをしめす等費用線と合わせて、生産者の費用最小化行動を説明する際に登場する場面もあるでしょう。

平均生産物とは、特定の生産要素の総投入量で生産量を割った値

生産曲線

さらに生産曲線上の点と原点を結んだ直線の傾きを「平均生産物」といいます。平均生産物とは、特定の生産要素xnの総投入量で生産量Qを割った値で、労働1単位あたりの生産量の意味合いで用いられる言葉です。上図(既出の”上右図”と同様)では、横軸のx1に対応させて“AP”と書いているのが平均生産物にあたります。APと表記される場合もあるでしょう。

平均生産物は、生産曲線上の点と原点を結んだ直線の傾きから確認可能です。$AP=\frac{q}{x}$(この場合は$AP_{1}=\frac{Q}{x_{1}}$)の関係性があります。また消費理論と同じような捉え方をしてきましたが、平均生産物に相当する概念が消費理論にはないのも頭に入れておくとよいでしょう。

【参考書籍】