必需品と奢侈品の違いは需要の所得弾力性にアリ!

あなたはタバコを吸いますか。「一箱1000円になったら辞める」などといいながら、吸いたい欲が金額に勝って喫煙を続けているところかもしれません。生活の一部となって価格や所得が変化しても需要量が変わらない財を「必需品(ひつじゅひん)」と呼びます。反対になくても困らない財は「奢侈品(しゃしひん)」です。必需品と奢侈品の経済学的な違いをチェックしていきましょう。
必需品とは、価格や所得が変化しても需要量がそれほど変化しない財
必需品とは、価格が上昇しても需要量はそれほど減少しない財です。“生活必需品”という言葉がありますが、価格が高くなったからといって簡単に需要を減らせない品物はあなたもイメージできるのないでしょうか。需要の価格弾力性edが小さい“非弾力的”な財といってもいいかもしれません。
必需品のほかにも、需要の価格弾力性edが小さい財の例として下のような商品が挙げられます。
・穀物(米など) ・他に代替できない財(塩) ・嗜好品(タバコなど) ・所得と比較して支出額の小さい財(楊枝など)
また商品全般に対するよりも、個別の財として扱う方が需要の価格弾力性が高くなる点を押さえておく必要があります。たとえば同じ穀物であったとしても、米の価格が上がると、パンなどの代わりになる財(代替材)の需要に流れる場合があるでしょう。また同じ車といえど、トヨタの車の価格が上がるとホンダや日産の車にお客さんが移る場合もあるです。
需要の所得弾力性とは、所得の変化率に対する需要量の変化率の割合
需要の価格弾力性だけでなく、必需品は「需要の所得弾力性」を使って説明される場合もあります。需要の所得弾力性とは、所得の変化率に対する需要量の変化率の割合です。
必需品は、需要の所得弾力性が小さい財といえます。需要の所得弾力性をeI、所得をI、需要量をxとして式化すると下のように表せます。
需要の所得弾力性$e_{ I }=\frac{Δx}{x}\div\frac{ΔI}{I}=\frac{I}{x}\times\frac{Δx}{ΔI}=\frac{I}{x}\div\frac{ΔI}{x}$
また「所得消費曲線」から導いた「エンゲル曲線」を用いて、需要の所得弾力性をグラフで説明するケースもあります。供給の価格弾力性のように、αやβの関係で弾力性を判別できるのです(これは「所得消費曲線」や「エンゲル曲線」と合わせて別記事で説明します)。
奢侈品とは、所得が増加すると需要量が増加する、なくても困らない財
必需品は生活に欠かせない財でしたが、なくても困らない財も世の中にはあるでしょう。「奢侈品」とよばれる材で、高価なブランド品などは代表例です。さきほど説明した需要の所得弾力性が大きい財(eI>1)に奢侈品はあたります。所得が上昇すると需要量が増加、所得が減ると需要量が減少する財です。まさにあなたがブランド品を買おうとする場面を思い起こすとイメージしやすいかもしれません。
【参考書籍】
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