限界費用・平均費用・平均可変費用・平均固定費用を総費用曲線のグラフからチェック

限界費用・平均費用・平均可変費用・平均固定費用を総費用曲線のグラフからチェック

総費用線のブラフにあらゆる補助線を引いてみましょう。すると経済学でおなじみの「限界」や「平均」がついた情報が視覚的に確認しやすくなります。「限界費用」・「平均費用」・「平均可変費用」・「平均固定費用」を平均費用総費用曲線のグラフから求めてみましょう。

限界費用とは、生産物を1単位追加的に生産するときに必要になる費用の増加分

限界費用・総費用曲線・平均費用曲線

限界費用MC(marginal cost)とは、生産物を1単位追加的に生産するときに必要になる費用の増加分です。グラフから求めるときには、総費用曲線の接線の傾きが限界費用MCと同じ値になります。曲線の関数(二次関数)を微分して限界費用MCを求めてみましょう。

上左図には短期費用曲線TC、上右図には限界費用曲線MCと平均費用曲線ACを書きました。まず上左図をみてください。総費用曲線TCが点B0と点B1の間で上には凸、点B1より右側では下に凸になっています。点B0と点B1のあいだでは増加分がマイナスですが、点B1を境にしてより右側ではまた増加分が大きくなっているのを意味します。

それを確認するために上右図に青色で書かれたMCの曲線をみてみましょう。点B0と点B1の間では下に向かって伸びている曲線が点B1を境にして右側では上に伸びています。総費用曲線の傾きがマイナスからプラスに転じる点B1で、限界費用MCが最小になる点を押さえておきましょう。

平均費用とは、生産物を1単位作るのにかかる費用

平均費用・総費用曲線・平均費用曲線

平均費用AC(average cost)とは、総費用TCを生産量Qで割った値です。平均費用から、生産物を1単位作るのにかかる費用が求められます。グラフから求めるときには、総費用曲線上にある任意の点と原点Oを結ぶ直線を引いてみましょう。その直線の傾きが平均費用ACと等しくなります。

上右図(*既出)には、限界費用曲線MCと平均費用曲線ACが書いてあります。上左図には総費用曲線TCとあわせて平均費用ACや後述する平均可変費用AVC・平均固定費用AFCがわかるように補助線を引きました。

上左図の点B’は、総費用曲線上の点と原点Oを結ぶ直線が総費用曲線と接する位置にあたります。上で説明したとおり総費用曲線の接線の傾きは限界費用MCと同じなため、B’では平均費用ACと限界費用MCが等しいです。上右図でもB’でMCとACが交わって同じ値をとっています。

$$\frac{TC}{Q}=\frac{VC}{Q}+\frac{FC}{Q} すなわち平均費用AC=平均可変費用AVC+平均固定費用AFC$$

平均費用・総費用曲線・平均費用曲線

上は、さきほど平均費用の説明で使った図です。平均固定費用AFCは、固定費用FCを示す水平線と原点を結ぶ直線の傾きから求められます。生産量Qが増えれば増えるほど単調に減少する特徴が確認できます。

平均可変費用AVCは、総費用曲線TC上の任意の点と縦軸上の点B0を結ぶ直線の傾きに相当します。平均可変費用AVCは点B2で最小になり、その点で限界費用MCと等しくなります。下図にあるように、短期生産関数の曲線と原点を結んだ線が短期生産関数の曲線と接する点です。その点B2で上右図でも曲線AVCが最小になり、曲線MCと交わるのを確認しておきましょう。

短期生産関数

【参考書籍】