ラスパイレス数量指数・パーシェ数量指数は予算線Iを使うとわかりやすい!

あるときと比較して自分の生活が豊かになった・貧しくなったかを経済学では数的に算出できます。たとえば同じ「ラスパイレス数量指数」と「パーシェ数量指数」という数量指数を作って基準のタイミングと今を比較する方法で、生活水準(消費生活の水準)の変化を検討するのです。求め方など基本事項をまとめていきましょう。
ラスパイレス数量指数は過去の価格が基準・パーシェ数量指数は現時点の価格が基準
「ラスパイレス数量指数」と「パーシェ数量指数」は、公務員試験などではセットで問われる指数です。両者の違いを端的にまとめると下のようになります。
ラスパイレス数量指数→過去のある時点での価格を基準にする パーシェ数量指数→現時点での価格を基準にする
2財の価格を(P,Q)とし、過去のある時点では最適消費点が(x0,y0)でした。そこから現時点では需要が(x1,y1)になっていると想定しましょう。(アルファベットの上の数字は、数を区別する基準としてつけたもので、累乗を示しているわけではありません)
そして価格(P,Q)にウエートをおいて、上の2つの需要を組み合わせて数量指数を作ると下のように表せます。
$$\frac{Px^{1}+Qx^{1}}{Px^{0}+Qx^{0}}$$
このとき需要は(x0,y0) と(x1,y1)で区別していますが、過去と現在で価格も区別が可能です。過去のある時点での価格を(P0,Q0)、現時点の価格を(P1,Q1)としましょう。するとラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数は下のようになります。
$$ラスパイレス数量指数(過去の価格にウエート)=\frac{P^{0}x^{1}+Q^{0}x^{1}}{P^{0}x^{0}+Q^{0}x^{0}}$$
$$パーシェ数量指数(現時点の価格にウエート)=\frac{P^{1}x^{1}+Q^{1}x^{1}}{P^{1}x^{0}+Q^{1}x^{0}}$$
ラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数の使い方
もとめたラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数を×100してみましょう。すると「ある過去の時点から現時点まででパーシェ数量指数が◯%変化している」などと変化の程度を数値的に表現するのが可能になります。
「物価が昨年同月比で◯%増加している!」のような使われ方を想像するとわかりやすいかもしれません。このように基準にした年月と比較して、現時点での価格の変化などを数的に理解する上で利用されます。
ラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数は予算線で考えるとわかりやすい
顕示選好の弱公準を紹介した記事に登場したグラフに、I1に平行な予算線I1’とI2に平行な予算線I2’を点線で書き加えてみました。平行な予算線同士は傾きが同じのため、価格比も同じです。そして過去の時点をA0(x0,y0)、現時点をA1(x1,y1)として予算線を4本ひいてあると捉えてみましょう。
ここでラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数の定義を思い出してください。
ラスパイレス数量指数→過去のある時点での価格を基準にする パーシェ数量指数→現時点での価格を基準にする
つまりラスパイレス数量指数は過去・パーシェ数量指数は現時点の価格に着目して変化後に対する変化前の予算線の比を求めていました。つまり“I”を使って式を簡略化しましたが、ラスパイレス数量指数とパーシェ数量指数は予算線Iの記号を使って示すと下のように書けるのです。
$$ラスパイレス数量指数=\frac{I^{0′}}{I^{0}}$$
$$パーシェ数量指数=\frac{I^{1}}{I^{1′}}$$
【参考書籍】
-
前の記事
顕示選好理論では予算オーバーに要注意! 2021.09.24
-
次の記事
労働供給は賃金率が上がりすぎると減る!? 2021.09.25