初期保留量・留保需要・オファー曲線で価格変化の影響を追う!

初期保留量・留保需要・オファー曲線で価格変化の影響を追う!

市場価格は変わるのが一般的です。誰かが意図的に操るわけではなく、多くの消費者の消費行動によって自然と定まって、また自然と変化していきます。今回は価格が変化する過程で最適消費点(需要)がどのように変化をするのかを確認しましょう。消費者行動理論の分野で登場する「初期保有量」「留保需要」「オファー曲線」の3つのキーワードを挙げながら紹介します。

初期保有量とは、最初に所有していると想定される2財の一定量

初期保有量とは、消費者が最初の段階で所有していると想定される2財の一定量を指します。2つの財をx財・y財とすると、記号では($\bar{x} , \bar{y}$)と書き、上付きバーで表すのが一般的です。

財の価格をPx・Py、効用Uを(x,y)、初期保有量の価格を$P_{\bar{x}}・P_{\bar{y}}$と示します。そのときの予算制約式は下のとおりです。この①をつかって、効用Uが最大になる消費量を考えていきましょう。

$$I=P_{x}\cdot x+P_{y}\cdot y=P_{x}\cdot \bar{x}+P_{y}\cdot \bar{y} …①$$

留保需要とは、自分で消費するために供給を保留する量

_{}初期保有量・留保需要

上図に①の直線を書きました。上図で確認できるとおり、①の式は($\bar{x} , \bar{y}$)を通る直線です。財の価格が変わって価格比が変化すると、①の直線の傾きが変化し、($\bar{x} , \bar{y}$)を通りつつ回転します。初期保有量($\bar{x} , \bar{y}$)は固定されて移動しません。価格が変化したときに($\bar{x} , \bar{y}$)を回転の中心として直線は傾きが変わると、回転しているように見えるわけです。

また$\frac{P_{x}}{P_{y}}$の価格比の下で、①の予算線と無差別曲線の交点である最適消費点(需要)を$E_{1} =(x_{e},y_{e})$としました。この状況下において、消費者はx財をの量ほど減らし、交換にy財をだけ買おうとするでしょう。

この消費者が自宅で野菜を育てていると考えてみてください。そしてx財を野菜と想定します。するとxeの量だけで自分で食べる分を確保できれば、残ったは市場に供給してもいい量と考えられるでしょう。xeの分だけ確保したように、自分で消費するために供給を保留する量を「留保需要」と呼びます。

オファー曲線とは、価格比の変化に合わせて移動する最適消費点(需要)の軌跡

オファー曲線

オファー曲線(オファーカーブ)とは、価格比の変化に合わせて移動する最適消費点(需要)の軌跡です。初期保有量(,$\bar{x} , \bar{y}$を軸に価格比が変化するのにあわせて予算線が回転したときの最適消費点を結んだ曲線ともいえます。消費者行動理論だけでなく、貿易理論でも登場する曲線です。

冒頭でも書いたとおり市場価格は変化します。さきほどまでは(Px,Py)だった価格が(Px’,Py’)や(Px’’,Py’’)へと変化して、変化した価格比に合わせて新たに予算線I’・I’’がグラフに追加されました。予算線の回転に合わせて需要がE2やE3に移動します。この最適消費点がE1やE3などに変更する点たどるように引かれた線がオファー曲線なのです。

【参考書籍】