等利潤平面・等利潤直線は、生産曲面・生産曲線との接点に注目

等利潤平面・等利潤直線は、生産曲面・生産曲線との接点に注目

企業がものを作って売るのはなぜでしょうか?NPOのように非利益目的の団体もなかにはあります。しかし売上を上げて利益・利潤を得るために活動している団体が大半でしょう。生産要素と生産量に加えて、利潤の変化も確認できる「等利潤平面・等利潤曲線」について今回は紹介します。

企業は利潤を最大化するために生産活動をしている

企業が生産を行う目的として、利潤の最大化がまず挙げられます。生産関数$Q=f(x_{1},x_{2})$にしたがって生産を行い、収入と支出の差である利潤πを企業は最大化するために活動するのです。生産物の価格をP、生産要素x1,x2それぞれの価格をw1,w2とすると、先ほどの生産関数は下のように書けます。

$$π=PQ―(w_{1}x_{1}+w_{2}x_{2}) …①$$

①は、x1軸・x2軸・Q軸で構成される三次元空間にある平面を表す式です。これをQ=◯◯の形に整理すると下のようになります。

$$Q=\frac{w_{1}}{p}\cdot x_{1}+\frac{w_{2}}{p}\cdot x_{2} +\frac{π}{p} …②$$

②の式に$x_{1}=x_{2}=0$を代入すると、Q軸の切片が求められるでしょう。Q軸の切片は$\frac{π}{p} $です。②の式において、価格w1,w2,Pが一定であれば、利潤πの値が大きくなるにつれて、平面はより上方に移動していくのを意味しています。

等利潤平面とは、利潤の値を固定して価格変化の影響や生産要素の組み合わせを考えるための平面

等利潤平面とは、生産関数$Q=f(x_{1},x_{2},P)$において利潤πを固定して得られる平面を指します。②のQ軸切片が$\frac{π}{p} $でしたが、利潤π(Q軸切片)を固定して価格変化の影響や生産要素の組み合わせを考えるために使う道具です。

生産要素と生産物の組$(x_{1},x_{2},Q)$は、生産曲面上の点だと考えられます。その点を通る等利潤平面がQ軸と交わる点$(0,0,\frac{π}{p})$から利潤πを求められるのです。

等利潤平面と生産曲面の接点を探す

等利潤平面

生産曲面と等利潤平面を上図に書いてみました。丸みのある山のような形をした生産曲面に、緑色の板のように見える等利潤平面が載っているように見えるでしょうか。

利潤πが最大になるのは、等利潤平面と生産曲面が接しているときです。等利潤平面と生産曲面が交わりながらより高い利潤をもとめて上へ上へと移動し、ちょうど上図で示したように点Bの1点のみで接している状態ともいえるでしょう。このとき接点Bにあたる($\bar{x_{1}} , \bar{x_{2}} , \bar{Q}$)の組み合わせは、利潤を最大化する生産要素量と生産量の組み合わせです。

等利潤直線とは、等利潤平面を真横から見たときの形状をしめす直線

等利潤直線

等利潤平面と生産曲面が点Bで接している$x_{2}=\bar{x_{2}}$のところで底辺に対して垂直に切り目を入れたとイメージしてみてください。上図のように、切り口を真横から覗いているような画が思い描けたでしょうか。二次元の図になるため、曲線と直線として曲面と平面が捉えられるようになりました。

とくに等利潤平面の切り目にあたる、緑で示した「等利潤直線」に注目してみましょう。上図では、生産曲線 $Q=f(x_{1},\bar{x_{2}} ) $と等利潤直線 $PQ=w_{1} x_{1}+( \bar{π}+w_{2}\bar{x_{2}} ) $が得られています。生産曲線と等利潤直線は、点B($\bar{x_{1}} , \bar{Q}$)で互いに接しているため、傾きが同じです。よって$\frac{w_{1}}{p}$(①のx1の係数および直線の傾き)とMP1(限界生産物=生産曲線の傾き)が等しくなっているのが分かります。

実質価格・限界生産物価値

ここまではx2を固定してきましたが、もう一方のx1を固定して同様に生産曲面を底辺に対して垂直に切る場合も考えてみましょう。すると、$\frac{w_{1}}{p}$(①のx2の係数および直線の傾き)とMP2が等しくなっているのが分かります。このような$\frac{w_{i}}{p}$を第i要素(xi)の「実質価格」と呼ぶのを覚えておきましょう。

また利潤πが最大化されている場合、生産要素xiの限界生産物MPiは生産要素xiの実質価格$\frac{w_{i}}{p}$と等しいといえます。式化すると下のようにまとめられるでしょう。

$$第1要素の限界生産物MP_{1}=第1要素の実質価格\frac{w_{1}}{p}$$

$$第2要素の限界生産物MP_{2}=第2要素の実質価格\frac{w_{2}}{p}$$

また、ここで両辺にPをかけてみます。

$$第1要素の限界生産物価値P・MP_{1}=第1要素の価格w_{1}$$

$$第2要素の限界生産物価値P・MP_{2}=第2要素の価格w_{2}$$

以上の流れで求められるP・MPiを第i要素の「限界生産物価値(MVP)」と呼ぶのもチェックしておきましょう。

【参考書籍】