需要曲線とは価格に対する需要量の変化を読み解く道具

「需要曲線」は、供給曲線とセットで経済学テキストの1ページ目に登場したワードではないでしょうか。あるものの価格をみて、消費者がどのように動くのかが需要曲線から予想できます。グラフの特徴などに着目しながら情報をまとめていきましょう。
需要曲線とは価格の変化に応じて消費者がどのように需要量を決めているかを示す曲線

需要曲線とは、価格の変化に対応して消費者がどのように需要量を決めているかを示す曲線です。ある財の価格をp・その財の需要量をqとし、pとq以外の条件(変数)は変わらないと仮定しましょう。すると、pの変化に対するqの変化の程度を読み解くときに需要曲線は役立ちます。
価格が高ければ需要量は少なく、価格が低ければ需要量は多くなるのが一般的とされています。これを「需要の法則」と呼ぶのでした。そのため需要曲線は一般的に右下がりになります。上に需要曲線Dが書かれていますが、右下がりになっているのが確認できるでしょう。
価格・需要量・供給量以外の変数を「与件」と呼ぶ
“価格pと需要量q以外の条件(変数)は変わらないと仮定”して上では説明してきました。しかし世の中には価格pと需要量q以外にも経済に影響を与える変数は存在します。たとえば価格以外に下のようなものが挙げられる可能性があるでしょう。
【需要サイド(消費者側)の変数】
- 所得
- 他の財(代替財:ある財の代わりになれる財)の価格
- 消費者の人口
- 消費者に支払いの義務がある税の税率
- 消費者の嗜好性 など
上に挙げたように、価格pと需要量q以外の条件(変数)を「与件」と呼びます。与件も変化はしますが、あれもこれも変わったら何の影響で変化が起きたのかが分かりません。そのため与件は一定と想定され、勘定せずに純粋に縦軸・横軸の要素だけを分析に使います。需要曲線・供給曲線は縦軸に価格p・横軸に財の数量qをとるのでした。そのため縦軸と横軸に勘定されていない条件が与件といえます。
「需要の変化」と「需要量の変化」の違いは、需要曲線のシフトにある

与件が一定のままで価格pだけが変化するとき、需要量は下のように変化します。
・需要量は需要曲線に沿って変化する
→「需要量の変化」と呼ぶ
与件が一定の場合、需要曲線そのものに変化はありません。変化したpに対応してqの値が変わるだけです。
対して、ひとつでも与件が変化するときは需要曲線自体が移動(シフト)します。

・需要曲線自体がシフトする
→「需要の変化」と呼ぶ
(例:消費者の所得が上がる→購買力が上がる→需要曲線が右にシフトする)
【参考書籍】
-
前の記事
記事がありません
-
次の記事
供給曲線とは価格に対する供給量の変化を読み解く道具 2021.09.02